フラワーエッセンスの植物研究ノート

自然や植物とのつながり、フラワーエッセンスのことなど

【植物観察レポート】ナガミヒナゲシ2

 

plantessence.hatenablog.jp

からの続き

 

6.四元素との関係

風・・・春に咲くこと、あまり根を張らず、乾いた土地を好んで生息すること。

花の薄くて軽い感じも風の要素を感じられます。

 

火・・・赤味のあるオレンジという花の色と愕をやぶって開花するのに、

かなり光の力が必要であることから火の要素は強いと思われます。

 

水・・・アヘンがとれるポピーを考えるとその依存性は水の要素(特に海王星)も考えられます。

花が終わった後の果実や茎にアルカロイドを含む汁が唯一の水の要素かもしれません。

 

土・・・根はあまり深くないので弱いかも。

開花直前に蕾が大地に向かうというジェスチャーが大地との関わりを感じる。

 

 7.自然の他の界との関係

ケシと人間との関わりは古くから栽培されていたことから深いと思われます。

古代ギリシャ文明に先立って栄えたミノア文明(3500~5500年前に地中海で栄えた)では

  ケシの女神が崇拝されていました。

・イギリスでは11月11日の戦没者追悼記念日に赤いケシの花を身につけ、

ポピーデーと呼んでいます。(第一次世界大戦の激戦地だったベルギーのフランドル地方

赤いポピーがかつてないほど咲いたそうです。パパウェル・コンムタトゥム 

赤い花で中央に黒い斑点がある。)

 

 8.色

光沢のある赤味がかったオレンジ で、活力・輝き・喜びを感じさせます。

 赤黄色(橙色)は眼に温かい感情や歓喜に満ちた感情を与えてくれる。

「自然と象徴」ゲーテ 富山房百科文庫「ゲーテの色彩論」より

この色が春になると日本のいたるところで見られるというのも人の目を強く引き、

温かい気持ちをひきおこすような気がします。

 

9.他の感覚による知覚 香り、テクスチャー、味

香りはあまり感じません。

花の手触りはやわらかく、花弁を口に含むと少しぴりっとした感じがありました。

花弁は薄く、すぐに取れそうな感じがするので、はかなく、弱いイメージがあります。

 

10.化学成分と作用

通常のケシには果皮や花弁にアルカロイドが含まれます。

アヘンのとれるケシに関しては

鎮痛作用のあるモルヒネ、呼吸鎮静作用のあるコデイン、筋弛緩作用のあるパパベリン

 鎮痛効果のあるデバインなど約40種類の成分が含まれます。

・ケシ科の植物のほとんどがアルカロイドが含まれ、中枢神経を刺激します。

 アストラル体への影響が強く考えられます。

 

モルヒネは強い鎮痛・麻酔作用を与えることから、

主にがん患者の痛みを取り除くのに使われています。

アヘンは全身に心地よい弛緩がおこり、心配や不安などのマイナス要素が消えます。

幸福感・至福感があるそうです。

ハナビシソウは微量のコデインモルヒネが含まれるので

鎮痛、安眠、咳止めとして用いられます。中毒性はないようです。

クサノオウは中国でアヘンの代用として使われたこともあったそうです。

ケリドニンというアルカロイドを含み、大脳中枢を麻痺させるようです。

 

11.薬草としての用途

属名の「pappa」は食べ物、ミルクに由来し、

 含まれている乳液をパプ(古代ケルト語でパン粥の意味)に混ぜて、

子供の寝つきをよくするようにされていたと言われています。

・ 種子は脂肪を含み、パンやお菓子の飾り、香りつけに使われています。

・ 種子にはアヘンは含まれません。主にトルコで生産されています。

・アヘンアルカロイドからは鎮痛剤として医療に使われています。

薬としてはヒポクラテスやガレノスの時代からすでに使われていました。

1803年ドイツのゼルチュルナーにより、モルヒネが使われるようになりました。

 

12.伝説神話・伝承、精神的および儀式的用途

けしにまつわる話はほとんどひなげしかオピウムポピーを対象としています。

ローマ・ギリシャ神話

絵画によく見られるケシ

  ヨーロッパの印象派(モネ、ゴッホ)、ラファエル前派

日本の民話にも登場します。

「ひのきとひなげし」宮沢賢治

中国の伝説 虞美人草の由来になっています。

 

日本にけしが伝わったのは室町時代の末期。

ポルトガル人により津軽地方にもたらしたので、

ケシのことをはじめ「ツガル」と呼んでいたそうです。

 

★ ローマ・ギリシャ神話でケシと関連がある神

ヒュプヌス(ソムヌス)・・・眠りの神

   ケシの花の汁を地上にまいて、眠らせる。

モルフェウス ヒュプヌスの息子で夢の神

       モルヒネに由来

豊饒の神ケレス(デメテル) 

  ポピーが彼女の疲労を癒し、休息を与えた。

ポピーはよく麦畑に生えている。

 

 

 イリスとモルフェウスの絵

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下で寝ころんでいるのがモルフェウス。そばに赤いケシの花があります。

ルネ・アントワーヌ・ウアス作 ルイ14世の寝室にあったそうです。

 

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イーヴリン・デ・モーガンの「Night and Sleep」

イーヴリンはラファエル前派の画家1855-1919 

1878年プリント とてもケシの花と眠りに関連した絵です。

 

 「オフィーリア」

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「ベアタ・ベアトリクス

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ラファエル前派の画家

ジョン・エバレット・ミレーによる「オフィーリア」と 

 ダンテ・ガブリエル・ロセッティの「ベアタ・ベアトリクス」にも

ケシの花が死の象徴として描かれています。

どちらもモデルはロセッティの恋人であったエリザベス・シダルです。

彼女はオフィーリアのモデルをした10年後、

こともあろうかアヘン中毒で亡くなってしまいます。

まさにケシの花を象徴する女性。

「ベアタ・ベアトリクス」はロセッティが

彼女の死後に描いたものです。

 

一般的なヒナゲシ。(東京都薬用植物園にて)

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ポピーの仲間であるハナビシソウカリフォルニアポピー

FESのフラワーエッセンスにもある。

花の開き方がヒナゲシとはまったく違う。

くるくると花びらがまかれた状態から開く感じ。

 

13 ヒナゲシアーキタイプ

ケシからイメージされる言葉

   死・眠り・安楽・解放・変容・喜び

タロット12番のテーマ

「吊るし人は天上の有力な力を呼び寄せることができるし、

神々やトランスパーソナルな自己とのつながりを

回復することができるのである。

人は十字架を受け入れることによって、

自分の運命と協力していくのであるし、

ある意味では運命を選び取るのである。

そして人が自分の運命を選び取ったとき、

彼はそれから自由になるのである。

なぜなら彼はその瞬間に運命を超越したことになるからである。」

(「ユングとタロット」サリー・ニコルズ 新思索社 より)

 

日本で帰化しているのも外界とのつながりを絶っている

「引きこもり」の増加との関係があるのではないかとも思えます。

人と接すること、集団の中にいて自己のつながりを保ち、

自由でいられることを教えてくれているかもしれません。

自己のつながりの回復は忙しい現代人にとって、

休息するということが本当の意味で

難しいということも必要な要素であると感じます。

 

タロット12番は逆さにうつむいたつぼみと花が開くときに

上を向く状態からかなりリンクしているように思われます。

占星術でも12ハウスは隠れた場所をあわらします。

日常から離れた場所・隔離された場所

私自身12ハウスに太陽を持ち、

どちらかというと離れた場所とか特殊な場所というのは

私にとってはなじみやすい場所のようにも感じます。

 

リトリートという言葉が最近、日本にも定着されつつありますが、

日常から離れてはじめて、

自分を取り戻す感覚もこのポピーには秘めているかもしれません。

 

★追加補足

現在、ナガミヒナゲシはかなりの繁殖力と

アレロパシー作用(他の植物の成長を阻害する)により、

駆除対象となっています。

セイダカアワダチソウもアレロパシー作用と繁殖力によって

一時はすごかったのですが、

こうした植物には自家中毒によって、また自分自身をも

自然と枯らし、減少されることがわかっています。

ナガミヒナゲシはどうかはわかりませんが、

自然界の中ではそこに生えてくることが

なんらかの役目をもつことも多々あります。

もちろん、在来種を守るためにある程度駆除されることも

仕方ないことだとは思います。

アレロパシー作用のある植物はたくさんあり、

セイヨウタンポポヨモギもそうです。

ナガミヒナゲシは1961年に東京ではじめて確認されました。

この植物はコンクリートによってアルカリ化された場所に咲くようです。

 

実際やったことがありませんが、酸性度の高い土に種を蒔いても

育たないだろうと思われています。

都会化とナガミヒナゲシはそんな意味で関わりがあります。

そうなると、都市化されたサイクルの中で忙しく過ごす私たち

には本当は必要とされている要素なのかもしれませんね。

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【植物観察レポート】ナガミヒナゲシ1

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 この記事は2005年9月30日に書かれたものです。

2005年夏、ライフスクール(School of Healing Arts and Sciences)

でのフラワーエッセンス研修のセクション2で発表した内容です。

 

この植物研究は2005年の3月1日から5月終わりにかけて観察し、まとめました。

植物研究を発表することになって、

ゆり科とかばら科の植物にしようかなーと思っていたのですが、

身近に観察できるものがやはりよいのではないかということもあり、

毎年春によくみるこの花をふっと思ったその日から一週間、

ポピーのシンクロ続きでした。

 

2月終わりなのにテレビをつければポピー特集。

ひなげしとおにげしの比較までしている。

その次にまたテレビをなにげにつけたら「私の人生の一曲」ということで

石井竜也が「アマポーラ」を歌ってる。

アマポーラはスペイン語でひなげしという意味。

タロット検索をネットでしていたら、

「フラワースピリットタロット」という超かわいいお花のタロットカードを発見。

そのパッケージにポピーにぶら下がる女の子の絵があり、

「吊るし人」のカードであることを知り、

非常に明るい「吊るし人」のカードに強く惹かれる。

で、またあるときは通販のカタログを見てたら

北欧のデザインのポピーのベッドカバーがあり、

こういう柄があるんだねーと興味をひき、

翌日、知り合いがそのポピー柄のバッグを

この週から提げてくるようになった。

 

この間わずか一週間か10日の出来事です。

ひなげしに呼ばれてるとしか思えない。

 

ひなげしはもともとそれほど興味を持っていた花ではなく、

アグネスチャンの「ひなげしの花」のうたくらいしか思いつかないほどでした(笑)。

しかし、帰化植物として今の日本に春になると

盛んに見られるナガミヒナゲシには幾分関心はあったので、

つきあってみる気になったのです。

 

アメリカのFES (Flower Essence Society) の

『植物について知覚するための12の窓』にそって

記録をまとめています。

1.植物学的分類

学名 Papaver dubium L.   

ケシ科ケシ属 50 ~100種類

 日本で自生するヒナゲシは1種類 リシリヒナゲシ チシマヒナゲシもあるらしい

原産地 地中海地方

一年草または越年草

分布 全国

開花期 4月~5月

1961年に東京で発見。実が長いのでナガミヒナゲシと呼ばれるようになった。

 

◎ ケシ属の種類

・ 分布 ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、南アフリカ、北アメリカ西部

日本でポピュラーなケシ属

・ ひなげし

アイスランドポピー

オリエンタルポピー(オニゲシ)

 

日本では違法のけし属

・ソムニフェルム種(オピウムポピー)

・ セティゲルム種(アツミゲシ)

・ブラクテアツム種(ハカマオニゲシ)

 

 

ソムニフェルムは無毛。アヘンはほとんどこれから取れます。

トルコで栽培。

アラスカンのフラワーエッセンスになぜかリサーチ含めて5種類くらい出ています。

ソムニフェルム種のポピーエッセンスはなかなか貴重かも。

アヘンの生産はタリバン政権崩壊後、

アフガニスタンが世界で流通されるアヘンの90%ぐらいまかなっているらしい。2005年8月のニュースでアフガニスタンでのアヘンの生産は

減少したという報告がありました。

他の地域では増えているので世界の総数的には変わらないようですが、

そのときにアフガニスタンでのアヘンの収穫の様子や

ポピーの畑がテレビに映し出されたのを見ました。

どこまでも広大な土地に一面ポピーが咲いている。

ここへ行くとどんな気分になるのだろうか。

実はかなり大きい。

 

 2.形態とジェスチャー

・ 草丈20~60cmほどで全体に白い毛がある。

・茎にそってある白い毛はつぼみがついて、

茎が曲がるとそこから立たずに茎にそって毛がはっている。

茎は固く、しっかりしているのにもかかわらず、自在に曲がり、

自らの意思で動いているような感じである。

・葉のつき方 根生葉はロゼット

・茎につく葉は両面ともに毛がたくさん生えていて、

羽状に深く裂け(1~2回羽状深裂して)、

柄はなく、互生している。

 

・花の形態  

茎の上部に長い花茎を出し、直径2~5cmの橙色の4花弁をつける。

つぼみは茎がのびていくに従い、曲がって、下向きになり、

開花のときに少しずつ上に向いて、花弁を開く。

・しわしわの楕円形の花弁が重なり合って水平近くまで開く。

萼は開花のときに落ちる。

・ 萼は舟形をしていて割れ目のところは白いふちどりがあり、外側に長い毛がある。

・ 果実は直径8mm、長さ2cmほどの円柱形

・ 先端に8本ほどの柱頭が残る。おしべは多数で、子房をとりまいている。

 

 

つぼみが下向きになって花が開くときに上に伸び上がるという姿は

何をあらわしているのでしょうか。

大地に向かって垂れた頭と天に向かう姿から、

天と地の力を受け取っているようにも思われます。

花が開くときに萼をやぶり、落としてしまい、

萼の殻の中にしわしわに折りたたまれた花弁が少しずつ水平に開きます。

窮屈な殻の中から自由に帆を張り、

光を受け取る姿は変容の過程をあらわしているのかもしれません。

これらはケシ属のすべてにあてはまる特徴であり、とても興味深いジェスチャーです。

 

落とされた古い自我の殻

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 3.空間との関係、幾何学的要素

けしは種が多量に含まれることもあり、野原一面に広がって、

お花畑など作ることが多い。

 そうした広がりの面と花自体は上に長い花茎をのばして、

茎が枝分かれせずに花をつけていくので、縦の要素もあります。

個人と集団に関係するかもしれません。

 

 4.時間との関係、季節の周期

ロゼット秋11月に発芽、冬はロゼット 4月桜咲き始める頃に開花がはじまる。                                    

3月1日 

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葉の表面に白い毛がつんつんたっている。葉の柄や茎が少し赤い。

                    

★ つぼみ~開花

葉の付け根から白い毛に覆われたつぼみがのびはじめる。

最初つぼみは上に向いてのびる。

茎がのびるに従い、下向きになり、茎の真ん中まで曲がる。

  4月19日 

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4月23日

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★ 開花前

  花が咲くときになると少しずつ上向きになり、オレンジ色に色づく。

 (夕方から夜中にかけて)

固い茎が意志を持って自在に動く姿は龍か蛇のように見える。

 

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★ 開花

早朝からふくらみ、愕をやぶる。

 

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約30分 ~40分かけて愕から抜けて、開花する。

光の具合によって 差がでる。

 

殻をやぶっても開かないものもある。

光の力が弱いと開きかけたままで終わる。

曇りの日など朝みても開ききらないものもある。

 

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水平に近いくらいまで開ききる。

 夕方くらいから風や何か触れたりすると花弁がとれやすくなる。

 翌日の午前中には落ちている。

 

5月初旬ほとんど花は終わり、茎と果実だけになり、

夏までの間に枯れていく。

果実が緑色から茶色に変色・収縮し、上部にすきまが開いて、

そこから種がこぼれ落ちる。

種の量は大量で、それは増大させる力をもっているともいえる。

 

5.環境との関係

ナガミヒナゲシ帰化植物で、田舎よりも都市部に多く見られます。

アスファルトのすきまや線路脇、造成地など温暖な乾いた場所に多い。

やせた土地を好みます。

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冬から春に生育することから真夏の暑さ・湿度は苦手のようです。

もともとは地中海原産らしいですが、日本全国に分布しています。

環境により個体の大きさを変化させることが出来るので、

柔軟に適応する能力があります。

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【植物観察の仕方】オオアマナ、他の植物との違い

この記事は書いててそのまま放置してたので

時間がたってしまったけど、

花の本質と出会うための植物観察について少しずつ書いていく。

 

花をみたときによく聞くことではあるけれど

ハナニラをみて、スターオブベツレヘムとそっくりですねと言われたり、

オオイヌノフグリをみて、「ベビーブルーアイズ」と呼んだり、

キュウリグサを「忘れな草」と呼んだりされることがある。

似た印象の花というのはある。

 

人もAさんとBさんで感じが似ていると思うことがあるかもしれない。

しかし、よくよくつきあってみると同じではないことがわかるだろう。

 

この場合、そこに働くのは似た印象というものが

思い込みになることだ。

思い込みは左脳でおこなわれる。

 

ゲーテ・シュタイナー的植物観察では

ありのままの状態をそのまま観察することが大切になる。

そのためには思い込みやフラワーエッセンスの定義は置いておく必要がある。

 

見たままがどうなのかを記述したり、スケッチすることで

何がわかるというのだろう・・

と思う人もいるだろう。

 

しかし、発見することがあるものなのだ(笑)

それはこの花はこうかもと思っていたものが違うということだったり、

はじめて知ることもある。

 

スターオブベツレヘムを例にして説明していく。

 

スターオブベツレヘムであるオオアマナは

キジカクシ科のオオアマナ属である。

小さな球根から

冬のうちに葉っぱが出始める。

はじめのうちは瑞々しい丸みのある細長い葉っぱであることが確認できる。

色も濃い緑色をしている。

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春になると葉っぱはすっかり色が落ちてきて、地面に横たわり

その根元に芽が出てくる。

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これがチューリップだと

葉っぱの根元に隠されて蕾をつけてそのまま茎が伸び始め、

花を咲かせる。

 

オオアマナはこの中にたくさんの花を抱えている。

中が開くと、外側からひとつずつ蕾をつけた花が伸びていく。

内側にある蕾はまだ一塊だったりする。

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春の陽がだいぶ昇ってきたところで開き始める。

 

花被片は6枚だが、外側の3枚は愕が花被片になったもの。

その外側の3枚のみ花の裏側は

茎とつながるようなグリーンに花弁の白い色が縁取られている。

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散房花序というらしい。

外側の茎が長くのびて、花は水平に上向きになるように

移動していく。

散房花序はアジサイシモツケもそうなのだが、

比較的花の大きさも小さく、密集してまとまっている。

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よく似たものでアリウム属やネギ属のものがあるけど

FESのプリティフェイスやグラッシーヒヤシンスは

学名がTriteleiaであるため、オオアマナ属ではない。

こちらがプリティフェイス (カリフォルニア・シャスタにて)

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ひとつの基部を中心に花がついている。

傘状花序とも言われる。

 

このように白い絨毯のように見えるのは

すべての花が上向きに高さもほぼそろっているからなのだ。

遠くからみると一つ一つの花が独立しているようにも見える。

シケツケと比べるとあきらかに空間の広がりが大きい。

(シモツケとの比較)

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中心の王冠のような雄しべは開きはじめは立っていて

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暖かさとともに十分に広げる。

お天気がよく日当たりもいいと

花被片は反り返るほど光を受け取る。

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オオアマナは多い物ではひとつの茎から20個ほど花をつけている。

花が多いと普通は茎を高くのばしてその周りに花をつけるということもある。

よく似ているユリ科の花は下を向いているか横を向いているものも多いが、

そうではなく、上に向くことで

光だけを求めていく。

 

背がそこまで高くなく、群生するため、

横につけるよりも上に向くほうがいいのかもしれない。

 

観察したままの特徴をまとめると、

光に対して開き、上から受け取る

光が弱まると、閉じる

真っ白な花色

6枚の花被片と6本の雄しべを持つ。

綺麗な6角形をつくる。

群生すること 

ひとつの球根からたくさん花をつける

背はあまり高くない

花のついている茎の高さはだいたいみんな同じくらいの高さ

そのため外側の花は長く茎を伸ばす

花はだいたい上向きでついている

春の日差しとあたたかさで開花

 

ということになる。

 

今回の観察で私が気づいたことは

ひとつの株からたくさんの花をつけているけど、

すべての花が上向きで光を受け取ろうとするため、

横に広がる必要があるというところだった。

だから、空間が広がることになる。

 

なによりも優先されていることは

上から光を受け取れるようにすることだ。

これはこの植物の表現の特徴のひとつでもある。

 

自分がスターオブベツレヘムになったつもりで

何度かイメージしていくのもいいと思う。

(私はもう何度もやった・(笑))

スペースがあることと光を十分受け取れることの安心感を感じることができた。

 

観察のときに、よく似ていると思われる花のつくりや咲き方の植物と

比べて、その違いを観察することはいろいろな発見につながることも

多いので、おススメする。

 

 

 

 

東京・植物専門の本屋さん

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先日、オープンしたばかりの友人が始めた植物専門の本屋さんまで行ってきました。

 

twitter.com

店主のえりさんはどうも私のこのブログにある

 

plantessence.hatenablog.jp

 

を随分前に読んで、本屋さんをやりたい!と思ったそう。

 

7年くらい前なんですね。そのときの種が

こんな形で出てくるなんて!!

驚きです。

小さくてかわいい本屋さんでした♪

もちろん「秘密の花園」も置いてありました。

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私はこの本を購入。

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左の手描きのような本は手作り作家さんのもの。

高松のわたぐも舎さんにもあったそうですが、

気づいてませんでした(^^;)

 

お隣は手作りのお菓子屋さん、そのお隣はかわいい花屋さんと

その周辺の住宅地から別世界になっておりました。

 

私が植物観察の参考図書にあげている

「植物への新しいまなざし」も置いてあります。

ぜひ、一度足を運んでみてください♪

 

kusafune-anthos.shop-pro.jp

チェリープラムと生垣

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イギリス、バッチセンターのチェリープラムです。

チェリープラムの花はバッチレメディーの花の中では一番最初に咲くと

言われています。

2月下旬から開花しはじめるそうですが、

エドワード・バックは1935年の3月にレメディーを作りました。

 

自分の副鼻腔炎によるひどい頭痛で苦しみ、それによって

生じる恐れや恐怖のためにチェリープラムを選んだことで有名です。

 

ジュリアンさんの本によると

チェリープラムは吸枝を出すことが多く、

イギリスでは生垣として利用されることが多いそうです。

実際、バック医師もウェルスプリングスの家の庭に

チェリープラムの生垣を作ったそうです。

 

イギリスの庭をみるとわかるのですが、

イギリスのお家にとって生垣は必須だったりします。

日本にもよくありますが、

だんだんブロック塀などが多くなってきました。

 

英国式のガーデンにもかかせません。

あらためて生垣の写真を探すと

なかなか見つからないものです(^^;)

このようにバックヤードガーデンの境のところなんかに

よくあります。

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これはホリーの生垣@キューガーデン

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よくある英国式ガーデンってこういうやつ。

植物の高さを揃えている感じ。

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つまり、このような感じでチェリープラムを生垣として形づくっていたのです。

 

サクラ属の花が咲く木を生垣に使うというのは

日本からすると珍しく感じます。

 

しかし、日本でも生垣として金木犀やサザンカクチナシなど

よく見られます。

個人的には人間によって意図的に植物の形を変えてしまうのは

どうだろう・・というところはありますが、

これは同じサクラ属のサクラやリンゴの木では作れないものかもしれません。

 

写真ではいくつもの木があるように見えますが、

1本の木です。

ジュリアンさんによると

「たいてい幹はいくつかに分かれ、その様子は多数の『I』の文字が集まって

いるのと同様に、まるで何本かの木が一緒に成長していように見えます。」

「チェリープラムの問題は明らかに、このような個体としての全体性が侵されている点にあります。」

と書かれています。

『植物のかたちとはたらき』ジュリアン・バーナード182P

 

何年も実をつけることがないらしいですが、

バッチセンターのチェリープラムには実がなっていました。

(6月です)

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非常にしだれていて、その中に入って写真を撮ったのですが、

枝が多すぎて、今まで写真でみていたサクラの木に似たような

チェリープラムとだいぶ違っていたので

こんなんでしたっけ・・君は??という感じでした。

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こういう状態をみると感情的に影響を受けやすいとか

不安定になりやすいということがわかるような気がします。

個体性がはっきりしない植物はたくさんありますが、

こうして1本の幹をとおして主張しているか

分岐した幹によって個体がわかりにくくなっているか

見極めていくことで、

それぞれの植物の印象がわかります。

そういう目線で身近な植物を観察してみると面白いと思います。

 

個人的にはイギリスのインペイシェンスと日本のツリフネソウの違いが

面白かったのですけど、それについてはまた書きます(^^;)

 

花が咲いたところもいつか見てみたいと思いましたが、

センターの中のノラ・ウィークスの写真が

チェリープラムをバックに写しているものがありました。

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参考に日本でみられるスモモの花はこんな感じ。

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しかし、生垣というのは

ある意味境界です。

それはそれで興味深い点です。

コントロールできない不安定さをせきとめるかのようです。

 

まだイギリスでは2月、3月はなんとも寒い時期に

この白い花は咲き、

この花から煮沸法で作られたわけですが、

必ず雲ひとつない晴れた日が長い冬の終わりを告げる日として

やってきて、その日に作ることをジュリアンさんは書かれています。

『Dr.バッチのヒーリングハーブス』ジュリアン・バーナード

BABジャパン 120p

しかし、まだ雪も降るだろう時期なので、

非常に気温も低く、太陽の力は弱いものだったのかもしれません。

 

そんな春のはじめの冷たい空気感の中でチェリープラムの

花を見てみたいものです。

 

 

私が主催するイベントやセッションの最新情報はコチラ↓

小豆島での春の花リトリート、東京での植物観察会もあります。

www.innergardenflower.com

バッチセンターのハニーサックル

まだイギリスで見たレメディーの植物について4つしか

書いてなかったんですね(^^;)

 

頑張ってアップします。

 

今回はハニーサックルについて。

私がバッチセンターに訪れた6月後半はハニーサックルが満開でした。

バッチセンターの入り口を飾っています。

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イギリスでは玄関先にハニーサックルを植えることが多いそうです。

このハニーサックルエドワード・バックが生きていたときに

挿し木をしたものだそうです。

 

玄関すぐ横の根元のあたり。

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このように入口をアーチ型に覆うようになっている。

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茎も蕾もマジェンダのような赤い色。

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このハニーサックル

香りが全然しませんでした。

同じ敷地によくある黄色のスイカズラの花があったのですが、

それはよく香りがしました。

すでにバッチセンターに訪れたのは午後の遅めの時間なので

香ってもよいのですが。

 

ちなみに南フランスでも同じような

野生のハニーサックルに出会ったのですが、

それも香りがしませんでした。

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香りについてはいろいろ謎は残りますが、

この色のハニーサックルでレメディーを作ったのは

この赤い色が必要だったからでしょうね。

 

ゲンチアンのレメディーは青紫ではなく、赤紫の色のリンドウで

レメディーを作ったように

前に進むための物質的な力として

赤の周波数がより必要と思ったのかもしれません。

 

ハニーサックルのレメディーは

過去を懐かしんだり、過去にとらわれていて

なかなか現実をみたり、前に進むことができないでいる人に

過去を手放し、成長するために力を貸してくれます。

 

赤毛のアン」の翻訳者として知られる村岡花子の伝記の中で

彼女が通った女学校の校長先生であるブラックモア先生が

卒業式でこんな言葉を残しています。

今から何十年後かに あなたがたが この学校生活を思い出して、あの時代が一番幸せだった、楽しかったと 心の底から感じるのなら 私はこの学校の教育が失敗だったと言わなければなりません。
人生は進歩です。若い時代は準備の時であり、最上のものは過去にあるのではなく、将来にあります。

アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)

 

まさにハニーサックル的なお言葉!!

もっともよいものは常に未来にあるという。

 

若い人たちにこんなお言葉を言われる先生って素敵ですね。

卒業のような節目だからこそ、

先を見なければならない、前を向いていなければいけないから。

 

だからこそ、入り口に咲かせるのかもしれませんね。

 

 

☆お知らせ

12月にこれらの写真や動画を含むお話会を東京でおこないます。

旅のお話をしながら、バックの人生やバッチセンター、

イギリスの植物について写真・動画をみていきます。

みなさんでフラワーレメディーやイギリスのこと、植物のことなど

ざっくばらんにお話できるような気軽な会です(*^-^*)

フラワーレメディーお話会

エドワード・バックとイギリスの植物」

12/10(土)13時30分~16時15分

東京・港区にて。

詳細・ご予約はコチラまで⇓

www.innergardenflower.com

 

 

キンミズヒキ・・北、南、イギリス

ちょっとボケ気味ですが、北海道でみたキンミズヒキです。

北大植物園にて。

なんだか花の大きさも小さ目な印象で、かわいらしい。

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キンミズヒキアイヌでは『キナライタ』といいます。

根っこにユリネのような白いものがついていてそれを赤痢など

お腹が痛いときに用いるそう。

写真は種で、かぎがついたような形になります。

これが人の衣服にくっついて運ばれます。

 

根っこに蓄えられるのはデンプンで、

ジュリアン・バーナードによると

デンプンは代謝の産物なので、人生の過程、言わば経験から得られるものを象徴しています。

と書かれています。「植物のかたちとはたらき」より。

 

 

一方こちらはイギリスのバッチセンターでみたセイヨウキンミズヒキ

アグリモニーです。

非常に茎の部分が太くなり、長く真っ直ぐ伸びています。

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「教会の鉄塔のような穂」というバックの表現の通りです。

たくましい感じで、全体に日本のものよりも大きいです。

先端が少し曲がるのは日本のものもイギリスのものも同じ特徴のようです。

西洋ではアグリモニーは今でもハーブ療法として、皮膚疾患や消化器系の調整のために使われています。

 

 

こちらは四国、高松でみかけるキンミズヒキ

北海道のものとまた少し違う感じですね。

本州のキンミズヒキはおそらくこんな感じです。

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同じ植物でありながらも、場所によって

印象が変わってきますね。

 

 

参考

アイヌと植物<薬用編>」 アイヌ民族博物館

「英国流メディカルハーブ」リエコ・大島・バークレー 説話社

「バッチのフラワーレメディー・植物のかたちとはたらき」ジュリアン・バーナード frp