フラワーエッセンスの植物研究ノート

自然や植物とのつながり、フラワーエッセンスのことなど

彼岸花の植物研究

2005年の10月22日に書いた記事です。

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ヒガンバナの分類プロフィール

曼珠沙華彼岸花

学名 Lycoris radiate

分類 ヒガンバナ科リコリス属 多年草

分布 日本 中国

花期 9月中旬~下旬

花の特徴 秋のお彼岸ごろに地下茎から高さ30~50cmの花茎が出て、その頂に花が4~12個輪状に開く。葉が変形した6枚の花被片はきつく外側に反り返り、縁はちぢれている。

6本の雄しべと1本のめしべは長くのびている。朱赤の花。

全草にアルカロイドなど含む有毒植物である。

曼珠沙華は「天上の華、赤い花」を意味する。

英名はハリケーンリリー、レッドスパイダーリリー

 

リコリス属の種類 

原種および自然雑種は15ほどで園芸種を含めると50以上あるらしい。

先に葉が出てから枯れて花が咲くタイプと先に花が咲いて終わってから葉がでるタイプとある。

リコリス属にはキツネノカミソリナツズイセン、スプレンゲリ、ショウキズイセンなどある。

 

★ 空間との関係 

実を結ばず、球根で増えるため、群生して咲く。そのため密集した感じが強いが、外向きに花弁が反り返るので、花の中心は空間がある。自己の内面のスペースを保ちながら、鱗茎で増えていくため深いところでのつながりや集団を意識する。

 

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★ 時間との関係、季節の周期 

花の時期は短い。毎年秋分前後に花が咲き、10月には終わっている。地面から花茎がのび、花が開き、冬に葉が出て、夏前にはなくなるという不思議なサイクルがある。

栄養を冬の間にためて

貯蔵する力をもち、時期がきたら使い果たすというのは何かに備えて準備しつつ、

その時が来たら

そのエネルギーを使うことを私たちに教えてくれているようにも思われる。

 

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燃え尽きた後の彼岸花

 

★環境との関係 

日本では主に田んぼの隅やお墓のすぐそば、寺院など人里の身近なところでよく見かけ、人のいないところではほとんど見かけない。人間との関わりの深さと生と死との関係も感じられる。昔、土葬だったときに小動物から遺体を守るため毒を含むこの植物が植えられたとされるが、境界線のように囲んでいるので、保護や境界との関係も考えられる。

 

★四元素との関係  

じめっとした水気のある場所が多いことや球根であることから水の要素は強いと思われる。

地上に顔を出し、花が咲くまで非常に早く成長することや

真っ赤な目立つ花の色から火の要素もおおいに感じられる。

一方地は弱いかもしれない。

風は真ん中の空間や葉のない茎のすきまには感じられるかもしれないが、

比較的弱いように思われる。

 

★ 自然の他の界との関係

やはり人間界との関わりが深い。

飢饉のときに球根のデンプンだけは水でよくさらして毒を抜いて食用にしていたことから「生きる」ことへの貢献もある。

それとどうしても秋分の頃の開花とかお墓のそばに生えていることから

霊界とのつながりも強いかもしれない。

(2017/9/28追加)

蜜を吸いにクロアゲハなどの蝶がたくさんあらわれるので、

蝶との関わりもある。

とくに黒い蝶が多いので、とても神秘的で光と影をハッキリ意識させる。

 

★色  

このように輝くような赤い花は日本ではめずらしいかもしれない。

もともと中国から渡ってきた花とされるので、中国によく象徴される赤に近い感じがある。

茎の鮮やかな黄緑とのコントラストも目立ち、日頃姿が見えないだけに「ここに存在する」ということをアピールする力を強く持つ。

 

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★化学成分と作用 

球根にリコリンというアルカロイドを含み有毒である。

漢方薬にも実はあり、浮腫や痔、歯の痛みなどに用いられる。

 

★ 伝説神話・伝承、精神的および儀式的用途

言い伝えなど日本で呼ばれている呼び名が何百もあることからいろいろあると思われる。

やはり不吉なイメージがつきまとい、家に植えると火事になるとかよくないイメージが強い。

 

日本人にとってなじみの深い花である。

そして連想されるのは「死」

 

彼岸花が英名でハリケーンリリーというのは最近知った。

確かに突然花が咲いて突然なくなるこの花とハリケーンや台風が多い9月という時期から、

ぴったりくる名前でもある。

それがアラスカのフラワーエッセンスにある火事の後に咲くファイアーウィードや洪水の後に咲くリバービューティーとニュアンス的に似た感じがした。

マジェンダではないが、この赤は再生するためのエネルギーの赤のように思われた。

 

★天体、占星術との関わり

そしておもしろい発見をした。

彼岸花蠍座冥王星と深く関わっているということ。

蠍座が持つ火と水の要素、冥界、霊と関係することでも知られている。

彼岸花がお墓の近くに植えられ、死者の蘇りも意味されることも

あることから、再生や霊魂との関わりはあるでしょう。

アンタレスが赤い星であることや蠍の色からも赤という色はつながりがある。

 

一年のサイクルでも昼より夜が長くなり始める秋のお彼岸ごろから

咲き始め、大きく切り替わる時期であること、有毒植物であること

は死と再生をテーマとする冥王星とおおいに関係するように思われる。

 

冥王星は身体の部分でいうと生殖器と関係するが、

彼岸花がゆり科に似ている球根の植物であるところから

も考えられるが、

蠍座の持っているテリトリー意識、限界を超えたところの境界線

それが体でいうと一番個人的な場所である生殖器ということに

なり、他者との関係性の深さをあらわす。

 

彼岸花を上からみたときに真ん中にスペースがあるのは

この行き過ぎた境界線にゆとりを感じる力を持つようにも思える。

 

私が思うのは冥王星のトランジット時に個人的に使えるのでは

ないかということだ。

使用するタイミングがあるとは思うが、彼岸花蠍座冥王星

マッチする花であることは間違いないように思える。

 

災害や戦争などの大きな打撃の後に乗り越えていく力をもしかしたら持っている

かもしれない。もともと日本では飢饉にそなえて彼岸花を植えていたくらいだから。

 

 ★ヒガンバナの他の種類

ちなみに白い彼岸花は黄色いショウキズイセンと赤の彼岸花の交配種だ。

最近なぜかよく見かけるような気がする。

黄色の花も今年見た。

これは赤と違ってひとつだけとかぽつんと咲いている。

より大きくてゆりっぽい。開花も遅く10月上旬に咲く。

 

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秋のバーベイン・ヨモギ

以前に立ち方の観察について記事を書いたのだけど

写真がこちらのブログに引っ越ししたときに反映されていません。

 

plantessence.hatenablog.jp

 

先日、小石川植物園でバーベインを見てきたので

写真を撮ればよかったのですが、

説明していたので、撮りませんでした( ;´Д`)

 

以前たぶん9月くらいに写真を撮ったバーベイン

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比較のために夏のバーベインの写真もあまりなく・・。

夏のはじめの小石川植物園の様子。

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写真をみるとほとんど立っている状態であることがわかります。

7月に観察したときもそうでした。

ところが9月に行ったときは

以前も同じことを思ったのですが、

たいして花が重いわけでもなんでもないのに

茎がへなっとなっていて、横になり、こんがらがったように見えるのです。

 

これと同じ現象がヨモギにも見られます。

花が咲くころのヨモギです。

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春から夏にかけて真っ直ぐ上に伸びていたヨモギではなく、

たいして重みがないのに茎がたたないのです。

 

枯れても茎が真っ直ぐ立つ植物もありますが、

このようにまだ枯れる前から横になる植物はどんなことがおこっているのでしょうか。

 

バーベインの場合、夏のはじめに見ただけの人と

秋に見ただけの人では少し印象が変わります。

これがまた冬になるとどうなっているのか

次回のときに観察したいと思います。

 

ジュリアン・バーナードさんの「植物のかたちとはたらき」によると

『ヴァーベインの場合、茎はチコリーより長く残ります。乾燥して折れにくく、他の植物が倒れて土に還った後も、真っ直ぐに立っています。』

と書かれています。

もしかしたら日本とイギリスでは違うのかもしれません。

日本では湿度が高いですしね。

 

茎は意志であり、中心でもあります。

バーベインのタイプの人が自分の意志をずっと保ち続けます。

風の要素が強いので、暑さと湿度により、

意志が保ちにくくなっているのかもしれません。

 

横倒しのようになった状態は

消耗して、疲れ切ったバーベインの調和が乱れた状態にも

見えます。

 

そのように四季を通じて植物を観察することで

どんな変化があるのか知ることは

一面のみで理解するよりも深く理解できます。

東京での観察会は次回は12月予定です。

 

 

 

 

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イギリスのインペイシェンス

昨年イギリスのバッチセンターでみた

インペイシェンスの短い動画があったのですが、

すでにアップしてるかと思ったらしていなかったので

YouTubeにアップしました。

 


イギリス・バッチセンターのインペイシェンス

 

音楽つけました(笑)

 

動画はちょっと見にくいですけど

日本でみるツリフネソウと違って

真っ直ぐに伸びている感じが西洋人っぽいです(笑)

和名としてはオニツリフネソウになるので

全体に日本のツリフネソウよりも大きいです。

 

ここにあったやつはそんなに茎が赤くなっていませんでした。

ジュリアンさんの本とか見るとけっこう赤いので

場所によるのだと思います。

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茎が透き通ったようにみえて綺麗なので

ちょっと触るとつぶれそうになりました。

非常にもろいです。

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6月の終わりだったので、花としては早いと思いますが

蕾がついていました。

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葉っぱのふちのギザギザがよく見ると面白いですね。

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こちらはロンドン郊外の場所で見かけたインペイシェンス。

早くも花が咲いていました。

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比較のために日本で咲いているツリフネソウです。

これは六甲高山植物園にて。

9月にはこの植物園内のあちこちで群生しています。

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ちなみにバッチセンターに行かれる予定の方は

トイレの前にインペイシェンスが植えられています(^-^;

目立たない場所だったので見落とすところでした。

 

 

 

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【植物観察】蕾の形成を観察する

植物の神秘の中でも葉っぱと茎だけの世界から

花が生まれていく過程はもっとも興味深いです。

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これはうちにあるベトナムドクダミですが、

蕾が葉っぱにくるまれた状態で出来上がっているのを発見。

 

フラワーエッセンス ヒーリング Seeds of Angelica

の高原さんのサイトにそれについて書いてるのかなと

見たみましたがちょっとよくわからなかったのですが、

ドクダミの記事がマニアックなので、

よかったら参考に(;^_^A

 

すべての蕾はこのように小さな葉っぱにくるまれていました。

しかし、その初期の部分をみたくて

張り付いて、調べていると

このあたりが一番小さいくらいでしょうか。

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外側のものが葉っぱになるやつですね。

 

さっきのくるまれた葉っぱから離れた状態のものは

こういう感じです。

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出来立ての葉っぱと蕾。

これが伸びて、また根元に葉っぱにくるまれた蕾が誕生するような感じです。

 

高原さんの

seedsofangelica.net

花のように見えるものは総苞片で、

葉っぱと托葉がメタモルフォーゼしたものが4枚の総苞片ではないか

ということが書かれています。

 

よく似たものでハナミズキヤマボウシがあります。

白くみえる花びらのようなものが総苞片です。

これは4月に写したヤマボウシの蕾。

花は真ん中の部分のみ。

花が咲くと周りにある苞が真っ白になり、大きく広がります。

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ドクダミに戻って、ドクダミの花の形成は葉の変化によって

作られていくわけですが、

小さな葉っぱにくるまれて生まれるのはとてもかわいいです。

 

ドクダミの花は真ん中の部分になります。

ここまで白くなると葉っぱには見えませんよね。

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これはうちのジャスミンの蕾です。

最初の小さな状態の蕾を見つけるのがまた毎年楽しみで・・。

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本当に神秘です。突然そこに花の形成がなされていくのは。

これは葉の成長過程でもあり、メタモルフォーゼと呼ぶこともできますが、

このときに植物にはアストラルな力が働きかけているのです。

植物は通常エーテルのエネルギーなのですが、

花に色や形をもたらすにはアストラルな働きかけが必要になるのです。

 

ドクダミの場合は花は黄色ということになりますが、

葉を白く変えていくところにもそうした作用があるのではないかと思います。

 

目に見えないところではネイチャースピリットたちの仕事がなされている

だろうと思うのですが、

こうした蕾の形成の初期を皆様もどうぞ探してみてください。

花が生まれるための神秘の営みに尊さを感じます。

 

家にある植物でもいいし、近所の雑草でもかまいません。

そしてその後どんな風に変化していくのかも。

 

これはフラワーレメディーについて学ぶ人にはとてもオススメです。

 

7月の東京での植物観察会もメタモルフォーゼを探します。

只今受付中です。

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【植物観察レポート】ナガミヒナゲシ2

 

plantessence.hatenablog.jp

からの続き

 

6.四元素との関係

風・・・春に咲くこと、あまり根を張らず、乾いた土地を好んで生息すること。

花の薄くて軽い感じも風の要素を感じられます。

 

火・・・赤味のあるオレンジという花の色と愕をやぶって開花するのに、

かなり光の力が必要であることから火の要素は強いと思われます。

 

水・・・アヘンがとれるポピーを考えるとその依存性は水の要素(特に海王星)も考えられます。

花が終わった後の果実や茎にアルカロイドを含む汁が唯一の水の要素かもしれません。

 

土・・・根はあまり深くないので弱いかも。

開花直前に蕾が大地に向かうというジェスチャーが大地との関わりを感じる。

 

 7.自然の他の界との関係

ケシと人間との関わりは古くから栽培されていたことから深いと思われます。

古代ギリシャ文明に先立って栄えたミノア文明(3500~5500年前に地中海で栄えた)では

  ケシの女神が崇拝されていました。

・イギリスでは11月11日の戦没者追悼記念日に赤いケシの花を身につけ、

ポピーデーと呼んでいます。(第一次世界大戦の激戦地だったベルギーのフランドル地方

赤いポピーがかつてないほど咲いたそうです。パパウェル・コンムタトゥム 

赤い花で中央に黒い斑点がある。)

 

 8.色

光沢のある赤味がかったオレンジ で、活力・輝き・喜びを感じさせます。

 赤黄色(橙色)は眼に温かい感情や歓喜に満ちた感情を与えてくれる。

「自然と象徴」ゲーテ 富山房百科文庫「ゲーテの色彩論」より

この色が春になると日本のいたるところで見られるというのも人の目を強く引き、

温かい気持ちをひきおこすような気がします。

 

9.他の感覚による知覚 香り、テクスチャー、味

香りはあまり感じません。

花の手触りはやわらかく、花弁を口に含むと少しぴりっとした感じがありました。

花弁は薄く、すぐに取れそうな感じがするので、はかなく、弱いイメージがあります。

 

10.化学成分と作用

通常のケシには果皮や花弁にアルカロイドが含まれます。

アヘンのとれるケシに関しては

鎮痛作用のあるモルヒネ、呼吸鎮静作用のあるコデイン、筋弛緩作用のあるパパベリン

 鎮痛効果のあるデバインなど約40種類の成分が含まれます。

・ケシ科の植物のほとんどがアルカロイドが含まれ、中枢神経を刺激します。

 アストラル体への影響が強く考えられます。

 

モルヒネは強い鎮痛・麻酔作用を与えることから、

主にがん患者の痛みを取り除くのに使われています。

アヘンは全身に心地よい弛緩がおこり、心配や不安などのマイナス要素が消えます。

幸福感・至福感があるそうです。

ハナビシソウは微量のコデインモルヒネが含まれるので

鎮痛、安眠、咳止めとして用いられます。中毒性はないようです。

クサノオウは中国でアヘンの代用として使われたこともあったそうです。

ケリドニンというアルカロイドを含み、大脳中枢を麻痺させるようです。

 

11.薬草としての用途

属名の「pappa」は食べ物、ミルクに由来し、

 含まれている乳液をパプ(古代ケルト語でパン粥の意味)に混ぜて、

子供の寝つきをよくするようにされていたと言われています。

・ 種子は脂肪を含み、パンやお菓子の飾り、香りつけに使われています。

・ 種子にはアヘンは含まれません。主にトルコで生産されています。

・アヘンアルカロイドからは鎮痛剤として医療に使われています。

薬としてはヒポクラテスやガレノスの時代からすでに使われていました。

1803年ドイツのゼルチュルナーにより、モルヒネが使われるようになりました。

 

12.伝説神話・伝承、精神的および儀式的用途

けしにまつわる話はほとんどひなげしかオピウムポピーを対象としています。

ローマ・ギリシャ神話

絵画によく見られるケシ

  ヨーロッパの印象派(モネ、ゴッホ)、ラファエル前派

日本の民話にも登場します。

「ひのきとひなげし」宮沢賢治

中国の伝説 虞美人草の由来になっています。

 

日本にけしが伝わったのは室町時代の末期。

ポルトガル人により津軽地方にもたらしたので、

ケシのことをはじめ「ツガル」と呼んでいたそうです。

 

★ ローマ・ギリシャ神話でケシと関連がある神

ヒュプヌス(ソムヌス)・・・眠りの神

   ケシの花の汁を地上にまいて、眠らせる。

モルフェウス ヒュプヌスの息子で夢の神

       モルヒネに由来

豊饒の神ケレス(デメテル) 

  ポピーが彼女の疲労を癒し、休息を与えた。

ポピーはよく麦畑に生えている。

 

 

 イリスとモルフェウスの絵

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下で寝ころんでいるのがモルフェウス。そばに赤いケシの花があります。

ルネ・アントワーヌ・ウアス作 ルイ14世の寝室にあったそうです。

 

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イーヴリン・デ・モーガンの「Night and Sleep」

イーヴリンはラファエル前派の画家1855-1919 

1878年プリント とてもケシの花と眠りに関連した絵です。

 

 「オフィーリア」

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「ベアタ・ベアトリクス

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ラファエル前派の画家

ジョン・エバレット・ミレーによる「オフィーリア」と 

 ダンテ・ガブリエル・ロセッティの「ベアタ・ベアトリクス」にも

ケシの花が死の象徴として描かれています。

どちらもモデルはロセッティの恋人であったエリザベス・シダルです。

彼女はオフィーリアのモデルをした10年後、

こともあろうかアヘン中毒で亡くなってしまいます。

まさにケシの花を象徴する女性。

「ベアタ・ベアトリクス」はロセッティが

彼女の死後に描いたものです。

 

一般的なヒナゲシ。(東京都薬用植物園にて)

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ポピーの仲間であるハナビシソウカリフォルニアポピー

FESのフラワーエッセンスにもある。

花の開き方がヒナゲシとはまったく違う。

くるくると花びらがまかれた状態から開く感じ。

 

13 ヒナゲシアーキタイプ

ケシからイメージされる言葉

   死・眠り・安楽・解放・変容・喜び

タロット12番のテーマ

「吊るし人は天上の有力な力を呼び寄せることができるし、

神々やトランスパーソナルな自己とのつながりを

回復することができるのである。

人は十字架を受け入れることによって、

自分の運命と協力していくのであるし、

ある意味では運命を選び取るのである。

そして人が自分の運命を選び取ったとき、

彼はそれから自由になるのである。

なぜなら彼はその瞬間に運命を超越したことになるからである。」

(「ユングとタロット」サリー・ニコルズ 新思索社 より)

 

日本で帰化しているのも外界とのつながりを絶っている

「引きこもり」の増加との関係があるのではないかとも思えます。

人と接すること、集団の中にいて自己のつながりを保ち、

自由でいられることを教えてくれているかもしれません。

自己のつながりの回復は忙しい現代人にとって、

休息するということが本当の意味で

難しいということも必要な要素であると感じます。

 

タロット12番は逆さにうつむいたつぼみと花が開くときに

上を向く状態からかなりリンクしているように思われます。

占星術でも12ハウスは隠れた場所をあわらします。

日常から離れた場所・隔離された場所

私自身12ハウスに太陽を持ち、

どちらかというと離れた場所とか特殊な場所というのは

私にとってはなじみやすい場所のようにも感じます。

 

リトリートという言葉が最近、日本にも定着されつつありますが、

日常から離れてはじめて、

自分を取り戻す感覚もこのポピーには秘めているかもしれません。

 

★追加補足

現在、ナガミヒナゲシはかなりの繁殖力と

アレロパシー作用(他の植物の成長を阻害する)により、

駆除対象となっています。

セイダカアワダチソウもアレロパシー作用と繁殖力によって

一時はすごかったのですが、

こうした植物には自家中毒によって、また自分自身をも

自然と枯らし、減少されることがわかっています。

ナガミヒナゲシはどうかはわかりませんが、

自然界の中ではそこに生えてくることが

なんらかの役目をもつことも多々あります。

もちろん、在来種を守るためにある程度駆除されることも

仕方ないことだとは思います。

アレロパシー作用のある植物はたくさんあり、

セイヨウタンポポヨモギもそうです。

ナガミヒナゲシは1961年に東京ではじめて確認されました。

この植物はコンクリートによってアルカリ化された場所に咲くようです。

 

実際やったことがありませんが、酸性度の高い土に種を蒔いても

育たないだろうと思われています。

都会化とナガミヒナゲシはそんな意味で関わりがあります。

そうなると、都市化されたサイクルの中で忙しく過ごす私たち

には本当は必要とされている要素なのかもしれませんね。

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【植物観察レポート】ナガミヒナゲシ1

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 この記事は2005年9月30日に書かれたものです。

2005年夏、ライフスクール(School of Healing Arts and Sciences)

でのフラワーエッセンス研修のセクション2で発表した内容です。

 

この植物研究は2005年の3月1日から5月終わりにかけて観察し、まとめました。

植物研究を発表することになって、

ゆり科とかばら科の植物にしようかなーと思っていたのですが、

身近に観察できるものがやはりよいのではないかということもあり、

毎年春によくみるこの花をふっと思ったその日から一週間、

ポピーのシンクロ続きでした。

 

2月終わりなのにテレビをつければポピー特集。

ひなげしとおにげしの比較までしている。

その次にまたテレビをなにげにつけたら「私の人生の一曲」ということで

石井竜也が「アマポーラ」を歌ってる。

アマポーラはスペイン語でひなげしという意味。

タロット検索をネットでしていたら、

「フラワースピリットタロット」という超かわいいお花のタロットカードを発見。

そのパッケージにポピーにぶら下がる女の子の絵があり、

「吊るし人」のカードであることを知り、

非常に明るい「吊るし人」のカードに強く惹かれる。

で、またあるときは通販のカタログを見てたら

北欧のデザインのポピーのベッドカバーがあり、

こういう柄があるんだねーと興味をひき、

翌日、知り合いがそのポピー柄のバッグを

この週から提げてくるようになった。

 

この間わずか一週間か10日の出来事です。

ひなげしに呼ばれてるとしか思えない。

 

ひなげしはもともとそれほど興味を持っていた花ではなく、

アグネスチャンの「ひなげしの花」のうたくらいしか思いつかないほどでした(笑)。

しかし、帰化植物として今の日本に春になると

盛んに見られるナガミヒナゲシには幾分関心はあったので、

つきあってみる気になったのです。

 

アメリカのFES (Flower Essence Society) の

『植物について知覚するための12の窓』にそって

記録をまとめています。

1.植物学的分類

学名 Papaver dubium L.   

ケシ科ケシ属 50 ~100種類

 日本で自生するヒナゲシは1種類 リシリヒナゲシ チシマヒナゲシもあるらしい

原産地 地中海地方

一年草または越年草

分布 全国

開花期 4月~5月

1961年に東京で発見。実が長いのでナガミヒナゲシと呼ばれるようになった。

 

◎ ケシ属の種類

・ 分布 ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、南アフリカ、北アメリカ西部

日本でポピュラーなケシ属

・ ひなげし

アイスランドポピー

オリエンタルポピー(オニゲシ)

 

日本では違法のけし属

・ソムニフェルム種(オピウムポピー)

・ セティゲルム種(アツミゲシ)

・ブラクテアツム種(ハカマオニゲシ)

 

 

ソムニフェルムは無毛。アヘンはほとんどこれから取れます。

トルコで栽培。

アラスカンのフラワーエッセンスになぜかリサーチ含めて5種類くらい出ています。

ソムニフェルム種のポピーエッセンスはなかなか貴重かも。

アヘンの生産はタリバン政権崩壊後、

アフガニスタンが世界で流通されるアヘンの90%ぐらいまかなっているらしい。2005年8月のニュースでアフガニスタンでのアヘンの生産は

減少したという報告がありました。

他の地域では増えているので世界の総数的には変わらないようですが、

そのときにアフガニスタンでのアヘンの収穫の様子や

ポピーの畑がテレビに映し出されたのを見ました。

どこまでも広大な土地に一面ポピーが咲いている。

ここへ行くとどんな気分になるのだろうか。

実はかなり大きい。

 

 2.形態とジェスチャー

・ 草丈20~60cmほどで全体に白い毛がある。

・茎にそってある白い毛はつぼみがついて、

茎が曲がるとそこから立たずに茎にそって毛がはっている。

茎は固く、しっかりしているのにもかかわらず、自在に曲がり、

自らの意思で動いているような感じである。

・葉のつき方 根生葉はロゼット

・茎につく葉は両面ともに毛がたくさん生えていて、

羽状に深く裂け(1~2回羽状深裂して)、

柄はなく、互生している。

 

・花の形態  

茎の上部に長い花茎を出し、直径2~5cmの橙色の4花弁をつける。

つぼみは茎がのびていくに従い、曲がって、下向きになり、

開花のときに少しずつ上に向いて、花弁を開く。

・しわしわの楕円形の花弁が重なり合って水平近くまで開く。

萼は開花のときに落ちる。

・ 萼は舟形をしていて割れ目のところは白いふちどりがあり、外側に長い毛がある。

・ 果実は直径8mm、長さ2cmほどの円柱形

・ 先端に8本ほどの柱頭が残る。おしべは多数で、子房をとりまいている。

 

 

つぼみが下向きになって花が開くときに上に伸び上がるという姿は

何をあらわしているのでしょうか。

大地に向かって垂れた頭と天に向かう姿から、

天と地の力を受け取っているようにも思われます。

花が開くときに萼をやぶり、落としてしまい、

萼の殻の中にしわしわに折りたたまれた花弁が少しずつ水平に開きます。

窮屈な殻の中から自由に帆を張り、

光を受け取る姿は変容の過程をあらわしているのかもしれません。

これらはケシ属のすべてにあてはまる特徴であり、とても興味深いジェスチャーです。

 

落とされた古い自我の殻

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 3.空間との関係、幾何学的要素

けしは種が多量に含まれることもあり、野原一面に広がって、

お花畑など作ることが多い。

 そうした広がりの面と花自体は上に長い花茎をのばして、

茎が枝分かれせずに花をつけていくので、縦の要素もあります。

個人と集団に関係するかもしれません。

 

 4.時間との関係、季節の周期

ロゼット秋11月に発芽、冬はロゼット 4月桜咲き始める頃に開花がはじまる。                                    

3月1日 

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葉の表面に白い毛がつんつんたっている。葉の柄や茎が少し赤い。

                    

★ つぼみ~開花

葉の付け根から白い毛に覆われたつぼみがのびはじめる。

最初つぼみは上に向いてのびる。

茎がのびるに従い、下向きになり、茎の真ん中まで曲がる。

  4月19日 

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4月23日

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★ 開花前

  花が咲くときになると少しずつ上向きになり、オレンジ色に色づく。

 (夕方から夜中にかけて)

固い茎が意志を持って自在に動く姿は龍か蛇のように見える。

 

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★ 開花

早朝からふくらみ、愕をやぶる。

 

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約30分 ~40分かけて愕から抜けて、開花する。

光の具合によって 差がでる。

 

殻をやぶっても開かないものもある。

光の力が弱いと開きかけたままで終わる。

曇りの日など朝みても開ききらないものもある。

 

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水平に近いくらいまで開ききる。

 夕方くらいから風や何か触れたりすると花弁がとれやすくなる。

 翌日の午前中には落ちている。

 

5月初旬ほとんど花は終わり、茎と果実だけになり、

夏までの間に枯れていく。

果実が緑色から茶色に変色・収縮し、上部にすきまが開いて、

そこから種がこぼれ落ちる。

種の量は大量で、それは増大させる力をもっているともいえる。

 

5.環境との関係

ナガミヒナゲシ帰化植物で、田舎よりも都市部に多く見られます。

アスファルトのすきまや線路脇、造成地など温暖な乾いた場所に多い。

やせた土地を好みます。

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冬から春に生育することから真夏の暑さ・湿度は苦手のようです。

もともとは地中海原産らしいですが、日本全国に分布しています。

環境により個体の大きさを変化させることが出来るので、

柔軟に適応する能力があります。

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plantessence.hatenablog.jp

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【植物観察の仕方】オオアマナ、他の植物との違い

この記事は書いててそのまま放置してたので

時間がたってしまったけど、

花の本質と出会うための植物観察について少しずつ書いていく。

 

花をみたときによく聞くことではあるけれど

ハナニラをみて、スターオブベツレヘムとそっくりですねと言われたり、

オオイヌノフグリをみて、「ベビーブルーアイズ」と呼んだり、

キュウリグサを「忘れな草」と呼んだりされることがある。

似た印象の花というのはある。

 

人もAさんとBさんで感じが似ていると思うことがあるかもしれない。

しかし、よくよくつきあってみると同じではないことがわかるだろう。

 

この場合、そこに働くのは似た印象というものが

思い込みになることだ。

思い込みは左脳でおこなわれる。

 

ゲーテ・シュタイナー的植物観察では

ありのままの状態をそのまま観察することが大切になる。

そのためには思い込みやフラワーエッセンスの定義は置いておく必要がある。

 

見たままがどうなのかを記述したり、スケッチすることで

何がわかるというのだろう・・

と思う人もいるだろう。

 

しかし、発見することがあるものなのだ(笑)

それはこの花はこうかもと思っていたものが違うということだったり、

はじめて知ることもある。

 

スターオブベツレヘムを例にして説明していく。

 

スターオブベツレヘムであるオオアマナは

キジカクシ科のオオアマナ属である。

小さな球根から

冬のうちに葉っぱが出始める。

はじめのうちは瑞々しい丸みのある細長い葉っぱであることが確認できる。

色も濃い緑色をしている。

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春になると葉っぱはすっかり色が落ちてきて、地面に横たわり

その根元に芽が出てくる。

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これがチューリップだと

葉っぱの根元に隠されて蕾をつけてそのまま茎が伸び始め、

花を咲かせる。

 

オオアマナはこの中にたくさんの花を抱えている。

中が開くと、外側からひとつずつ蕾をつけた花が伸びていく。

内側にある蕾はまだ一塊だったりする。

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春の陽がだいぶ昇ってきたところで開き始める。

 

花被片は6枚だが、外側の3枚は愕が花被片になったもの。

その外側の3枚のみ花の裏側は

茎とつながるようなグリーンに花弁の白い色が縁取られている。

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散房花序というらしい。

外側の茎が長くのびて、花は水平に上向きになるように

移動していく。

散房花序はアジサイシモツケもそうなのだが、

比較的花の大きさも小さく、密集してまとまっている。

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よく似たものでアリウム属やネギ属のものがあるけど

FESのプリティフェイスやグラッシーヒヤシンスは

学名がTriteleiaであるため、オオアマナ属ではない。

こちらがプリティフェイス (カリフォルニア・シャスタにて)

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ひとつの基部を中心に花がついている。

傘状花序とも言われる。

 

このように白い絨毯のように見えるのは

すべての花が上向きに高さもほぼそろっているからなのだ。

遠くからみると一つ一つの花が独立しているようにも見える。

シケツケと比べるとあきらかに空間の広がりが大きい。

(シモツケとの比較)

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中心の王冠のような雄しべは開きはじめは立っていて

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暖かさとともに十分に広げる。

お天気がよく日当たりもいいと

花被片は反り返るほど光を受け取る。

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オオアマナは多い物ではひとつの茎から20個ほど花をつけている。

花が多いと普通は茎を高くのばしてその周りに花をつけるということもある。

よく似ているユリ科の花は下を向いているか横を向いているものも多いが、

そうではなく、上に向くことで

光だけを求めていく。

 

背がそこまで高くなく、群生するため、

横につけるよりも上に向くほうがいいのかもしれない。

 

観察したままの特徴をまとめると、

光に対して開き、上から受け取る

光が弱まると、閉じる

真っ白な花色

6枚の花被片と6本の雄しべを持つ。

綺麗な6角形をつくる。

群生すること 

ひとつの球根からたくさん花をつける

背はあまり高くない

花のついている茎の高さはだいたいみんな同じくらいの高さ

そのため外側の花は長く茎を伸ばす

花はだいたい上向きでついている

春の日差しとあたたかさで開花

 

ということになる。

 

今回の観察で私が気づいたことは

ひとつの株からたくさんの花をつけているけど、

すべての花が上向きで光を受け取ろうとするため、

横に広がる必要があるというところだった。

だから、空間が広がることになる。

 

なによりも優先されていることは

上から光を受け取れるようにすることだ。

これはこの植物の表現の特徴のひとつでもある。

 

自分がスターオブベツレヘムになったつもりで

何度かイメージしていくのもいいと思う。

(私はもう何度もやった・(笑))

スペースがあることと光を十分受け取れることの安心感を感じることができた。

 

観察のときに、よく似ていると思われる花のつくりや咲き方の植物と

比べて、その違いを観察することはいろいろな発見につながることも

多いので、おススメする。