フラワーエッセンスの植物研究ノート

自然や植物とのつながり、フラワーエッセンスのことなど

枇杷のプロフィール・その2

plantessence.hatenablog.jp

の続きです。

 



4.時間との関係、季節の周期

 

一年のサイクルはこんな感じです。

 

9月 花芽がつく 

11月~2月 開花

3月 新葉    

5月~6月実が熟す

7月 新葉    

 

9月に入り、気温が下がると花芽がつき、11月から12月にかけて

めずらしく日照時間がもっとも少ない冬至の前から花が咲きます。

そしてもっとも日照時間の長い夏至前に果実が収穫されます。

受粉をするための虫などが少ない冬に開花するために少しずつ花がつき、花がみられる期間が非常に長いです。(2ヶ月くらい)

早いものは11月の中旬くらいから咲き、遅くなると1月の終わり頃まで花があるものもあります。

1つの花は5日~7日くらい開いています。

 

通常のばら科の樹木はほとんど春になって気温が上昇するとつぼみがつき、すぐに一斉に花が開き、数日間で花が終わるというサイクルを持っているのでかなり特殊だと思います。

 

ブドウ状になっているつぼみが少しずつ咲いていくので全体としては

あまりパッとしないのですが、ひとつの花だけを見ると

丸いコロンとしたつぼみが白い花を咲かせて、梅の花のようです。

 

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また通常の果樹は冬の間中では活動をしてても、いったん休みが入るが、枇杷の木は葉の伸展、枝の発生、花蕾から開花、そして実がなるまでと一年を通して休んでいることがまったくありません。

枝の発生は春2~3月、夏収穫後と秋で、

春の枝はほとんどが結果枝になります。

実がつくものは結果枝。つかないものは発育枝。

夏枝はおそいものは実がつかないことが多いようです。

 

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葉は古くなると樹容量のわりに葉数が少なくなります。

3月末~5月、8月、11月が落葉する時期です。

冬は落葉しません。

新葉がある程度展開してくると旧葉が落葉します。

葉の寿命は1年~1年半

 

幼果の発育期の肥大は新葉よりも旧葉でおこないます。

光合成で生産した炭水化物を自分の生長に使い、他の部分に転送。

新葉の展開が遅くて、旧葉が先に落葉すると果実の肥大が悪くなり、糖の増加を妨ぎます。

 

硬化した葉は水分の蒸散が少なく、夏の乾燥に強くなります。

                    

雨が多いと花芽があまりつかなくなるので、翌年の実のつき方が少なくなります。

 

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新葉はやわらかいので水分の蒸発を防ぐために表面に細かい毛がついています。

指でこするととれますが、一見ほこりのようにも見えます。

 

幼果から果実へ

 

3月くらいから5月くらいにかけて少しずつ実が熟していきます。

 

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5.環境との関係   

 

花や木は寒さに強いが、幼果は寒さに弱いので暖地斜面などで栽培されることが多いです。

自生されている地は冬期の温暖な気候地帯に限られていて、石灰岩地帯に多くみられます。

枇杷の栽培指標植物はタブノキでこの木が生育しているところでは枇杷は必ず生育します。また群生することはなく、常緑広葉樹と混生して自生しています。

 

暖かさと四季の温度変化が強くないところが好まれているようです。

 

基本的に果樹として栽培されていることが多いので、人との関わりは十分にあります。

 

 

6.四元素との関係

 

土と火・・・強い

水と風・・・弱い

 

 ばら科の樹木であること、冬に花が長く咲くことなどから土との関わりは深いと思います。

 成長が早く、樹高がすぐ高くなり、枝がどんどん伸びることと乾燥に強く、葉は日照条件が必要なところは火の要素を感じます。

逆に梅雨前に必要な作業(つぼみから花、花から実までの期間)が終わることと水分量が多いと実や花つきに影響があることは水の要素はとくに強くはないことがうかがわれます。果実には水分が多いが、桃や梨ほどではない感じ。

また、風については葉がしっかりしていて揺れるようなこともなく、要素としては少ないかと思われます。

 

意志の力を大地の力によって保ちつづけて、じっくり変容させる働きがあるのではないでしょうか。

 

 

7.色 

花弁は白いが、内側に黄色い毛がある。中心の雌ずいはグリーン

花房は黄緑の枝を全体的に茶色い毛皮のような表皮で覆われています。

一見すると茶色がめだちます。

果実は薄いオレンジ色。葉は濃いグリーン。

 

日本の伝統色の中に枇杷茶色という色があります。

「かわらけ色」とも呼ばれます。

浅い黄褐色。黄色っぽい茶色。

染物で枇杷の樹皮を使っても枇杷の実のような黄褐色に染め上がります。

 

白い花弁に内側に黄色い繊毛があるのはマリポサリリーを連想させます。

シュタイナーは太陽の宇宙的力を補助している木星の力は、花の中に白色と黄色を生み出すとも述べています。

白とグリーン、茶褐色から天と大地とのつながりを感じます。

 

8.他の感覚による知覚

香り、テクスチャー、味

 

花はすっきりとした甘い香り。よく香ります。

花弁も葉もかむとすっきりした酸味があります。

果実も比較的あっさりした甘みです。

葉や花房など細かい毛で覆われているので手触りとしてあたたかいもこもこした感じ。

 

甘く包み込むような感じとともに、すっきりとしたさやわかさを持っているようです。

枇杷のはちみつというのがありますが、そんな感じの味がします。

 

 

 

〈つづく〉